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【ストーリー紹介】蝉の声〜赤蝉の話〜 Vol.2-2 洞窟の中で

投稿日:2016年11月28日 更新日:

オオトカゲが今何歳で後どれくらい生きるのかを知っている者はいない。

少なくともこの辺に住む生き物ならば、皆生まれた時からオオトカゲを知っている。

オオトカゲは多くを語らないし、だいたいいつも寝ている。

赤蝉とトンビがオオトカゲの眠る洞窟に到着した時も、やっぱり奥の方からイビキが聞こえていた。

 

「うーん、起こす?」

 

トンビが少し困ったように赤蝉に問いかけた。

 

「話を聞きに来たんだから起こすに決まってるじゃない!早く行ってきてよ!」

 

赤蝉がトンビを急かす。

 

「・・・じゃあ、なんて言って起こす?」

 

トンビはさっきよりも小さな声で赤蝉に問いかけた。

 

「起きて!!って大きな声で言えばいいじゃない。聞きたいことがあるの!って。」

 

うぅ・・・とうなだれながらトンビは洞窟の入り口まで歩いていった。

 

赤蝉はトンビの背中に乗っている間に気持ちの整理をした。

お母さんが自分と同じ姿をしていたかどうかはそれほど重要ではない。

今の自分の姿は気に入っているし。

ただ、自分が知る必要のないはずだった過去を、無理矢理知らされなければならなくなった状況にイライラしただけだと気がついた。

 

私はこの体が気に入っているの!

 

赤蝉はそう強く自分に言い聞かせた。

 

トンビはまだ洞窟の入り口で右に行ったり左に行ったりしている。

見かねた赤蝉は「もういい!」とぶっきらぼうに一人で洞窟の中に入っていった。

トンビは情けない顔で後ろからついていったが、歩き始めてすぐ赤蝉が止まった。

トンビは恐る恐る聞いた。

 

「・・・ど、どうしたの?」

 

赤蝉は目をキョロキョロと動かしながら言った。

 

「・・・壁があって進めない。え?ここオオトカゲの寝床でしょ?」

 

まさか!とトンビは前の方に駆け寄った。

 

「ホントだ・・・。あれ?でもまだ入り口があんな近くにあるよ。」

 

赤蝉は後ろを振り返り、確かにすぐ近くに入り口があることを不思議に思った。

二匹は壁を叩いてみたり、大声でオオトカゲと叫んでみたりしたが何も反応はなかった。

そして、ひとまず外に出ようと振り返り入り口に向かって歩き出した。

 

その時、けたたましい音が洞窟内に響いた。

その音は確実に壁の方から聞こえてきて、よく見ると壁が洞窟の奥にどんどん引っ込んでいくではないか。

 

その光景を見て二匹は同時に「あっ!」と気がついた!

そう、その壁こそがオオトカゲだったのである。

 

二匹はさっきよりも大きな声でオオトカゲと叫んだり、奥に引っ込んでいく壁のようなお尻をペチペチ叩いた。

10メートルくらい後退したのち、壁のようなお尻が止まってまた大きな声がした。

 

「ん?後ろから小さな声が聞こえる!でも振り返れんぞ!後ろに誰かおる!」

kawazu
アートワーク担当。 ヤマズゲームスの弟の方。

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